封印されていた木村拓哉主演ドラマ「ギフト」の話 (ナイフ・ゲーム、バタフライナイフ、カウボーイビバップ)

最近、かつて放送されていた木村拓哉主演のドラマ「ギフト」が2019年にBlu-ray、DVD化されるというニュースを発見しました。

これは驚きですね。というのもこのドラマはある問題があって再放送などもされず、封印されていた作品だからです。

「ギフト」について

そもそも「ギフト」とはどんな作品かというと、1997年にフジテレビの水曜9時台に放送されていたドラマで、まあジャンルで言えばクライム(犯罪)ものということになるんでしょうか?

木村拓哉演じる主人公は人に「ギフト」を届けることに異常な執着を持つ記憶喪失の青年で、毎回メインゲストの役者が演じる癖のあるキャラクターのところに何かしら犯罪に絡むような「ギフト」を届ける内に過去の記憶を思い出していくというストーリーです

「ギフト」にハマった小学生時代

自分は放送当時小学生でしたが、すごくおもしろいドラマだなと思ったし、友達とも話題にしてました。あんまり子供が観るような内容でもないので親にちゃんと見せてもらえなかったりもしましたが。

特に自分達の間で大流行したのが、このドラマに出てきたナイフ・ゲームの真似です。

説明すると、それは主人公の過去の記憶の中で行われていたもので、目隠ししてナイフを握っている木村拓哉の前に、広げた手を机に置かせられている捕まえられた男がいるわけです。で、「Ready・・・」と言う掛け声を合図に、木村拓哉がそいつの広げた指と指の間に握っているナイフを突き立てまくるんです。

映像で見ればわかりやすいと思いますが、ようはこれを木村拓哉と捕らえられている男でやるわけです。

(この人はナイフ・ゲームのプロみたいな人のようですが、絶対真似しちゃダメ!) 

昔からあるゲームみたいですが、当時の自分達にはこれがすげーかっこ良いというかおもしろいものに感じられたんですね。「あのシーンすげえぞ」みたいな。それでナイフを鉛筆に代えて皆で学校の机でトントントントンやってたわけです。基本的にはこの動画のように自分の手で目も閉じたりせずにやるんですが、とにかく速く失敗しないでやれることが自分がイケてる男であることを証明するもののようになってました。

で、その木村拓哉が持っているナイフがバタフライナイフってやつなんですが、これがまた率直に言っちゃうとかっこ良いというか興味を惹くものだったんですね。

(ドラマ内でもこんな風に主人公がバタフライナイフをいじってる。)

バタフライナイフというもの自体、このドラマから知ったという人もたぶん多くて、自分も友達と「あのキムタクがチャラチャラさせてるのって何?」「あれバタフライナイフってやつらしいよ」「あれって何がどうなってるの?」みたいな会話をしたような記憶があります。

ただ、ドラマではナイフ・ゲームやバタフライナイフは主人公が悪いことをしていた過去の記憶として登場するもので、素直にかっこいいと思っちゃうのもズレた受け取り方ではあったのかもしれません。でもそういう悪さを表現している部分をかっこいいと受け取った人は沢山いたんでしょうね。そういうところからある事件が起きちゃうわけです。

バタフライナイフの事件

「ギフト」放送終了後の翌年にこのドラマに影響されたという中学生がバタフライナイフで教師を殺す事件が起きてしまったんです。このニュースは連日報道され、ドラマの内容がどうとか子供への悪影響が~とか色々言われていた記憶があります。

実際、このドラマの影響でバタフライナイフが流行したというのは否定できないことですが、しかし仮に自分がバタフライナイフを手に入れていたとしても、それで人を攻撃するっていうのは普通考えられないことだし、「ギフト」自体は罪を抱えた人間が更生していく話でもあります。

だから事件の原因をドラマに求めるのはちょっと行き過ぎにも思えるのですが、しかし結局「ギフト」は事件の責任をとらされるように再放送も中止され、ビデオ化こそされていたものの、ほとんど闇に葬られてしまったのです。

社会的には「ギフト」という作品自体もバタフライナイフのように危険なものとして扱われてしまったんですね。

そんな経緯のある作品が今になってようやくBlu-ray、DVD化される。

これは、それだけの年月が経ったんだなと思うと同時に、「ギフト」というドラマは忘れ去られていなかったんだなということを感じさせる出来事でもあります。

「ギフト」のスタッフ

ここからは半分余談ですが、「ギフト」のスタッフが手掛けた他の作品を調べてみると、そうと知らずに見ていた作品が結構あることに気づきました。

例えば深津絵里主演の監察医の世界を描いたドラマ「きらきらひかる」なんかは、「ギフト」のメインの脚本家、飯田譲二こそ関わっていないものの、プロデューサーの山口雅俊監督の河毛俊作脚本の井上由美子音楽の吉俣良とスタッフがかなり被ってます。これは思い返してみると納得で確かに作風が似てました。急にシリアスになる感じとかとか全体的な雰囲気とか。

しかも山口雅俊プロデューサーが手掛けた作品を結構見てるんですよね。「太陽は沈まない」「カバチタレ」「ロング・ラブレター~漂流教室」「ランチの女王」とか。代表作は「ナニワ金融道」のようですが、この人は当時の流行とは異なる職業ドラマとか金に関わるドラマを作っていた方みたいで、最近では「闇金ウシジマくん」の監督もやっていたようです。

意識していなくても、同じスタッフが作ったドラマを見ていたというのは、やっぱりその人達はおもしろいドラマを作っていたってことなんでしょうね。

「カウボーイビバップ」との類似性

ところでこのドラマ、作風がハードボイルドSFアニメの名作「カウボーイビバップ」に似てる感じがするんですよね。個性の強いキャラクターとか軽目のノリとか犯罪に関わる部分とか。「ギフト」で忌野清志郎が犯罪マニアの奇人を演じていてハッキングしたりするんですが、それも何かビバップのエドに似てる感じがするし。

なんか関係あんのかなーと、適当にネットで調べてみたらいくつか共通点を発見しました。

まず、「ギフト」が97年で「カウボーイビバップ」が98年の放送なんです。仮に影響を受けているとしたらビバップ側ですが、ほぼ同時期の作品ということにちょっと驚き。

で、先に述べたバタフライナイフの事件などの影響もあってテレビ東京はビバップの暴力シーンや性的表現を規制してカットしてるんですね。これは意外な繋がりですね。

ただそれよりも重要な共通点はこの二作品はどちらも松田優作主演のドラマ「探偵物語」に影響を受けた作品だということです。これには「なるほど、そういうことか!」と思わされました。この当時、松田優作や「探偵物語」が再評価されていたという話も聞きますが、どちらも同じルーツを持っている作品だったんですね。どおりで似てると感じるわけだ。

あとはトリビア的なネタとして、ギフトの3話とビバップの23話には大塚周夫が出演しているというのもありますが。

(関係ないけど、このブログを書いている時に実写ドラマ版「カウボーイビバップ」がNetflixで配信されるというニュースを見たのも驚きです。再び注目を集める時期も似てるんですかね。)

まとめ

まあ、長々と色々なことを書きましたが、「ギフト」はおもしろいドラマです。ひねりのあるアイディアや二転三転するシナリオなど、事件がなければ、おそらくもっと見られていたし、今以上に評価されているドラマになっていたのは間違いないと思うんですよね。

というわけで、このBlu-ray、DVD化によって「ギフト」の再評価が進めばいいなと思う次第です。


「ギフト」のテーマ曲、ブライアン・フェリー「Tokyo joe」

(過去の記憶を思い出すときに、この曲のストリングスアレンジバージョンが流れるのがかっこ良かった。)

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