細野ファン視点で小山田圭吾の細野晴臣ベスト盤の選曲を語る『HOSONO HARUOMI compiled by OYAMADA KEIGO』

星野源選曲のベスト盤の記事はこちら

星野源選曲盤に引き続き小山田圭吾の選曲についても語っていきたい。

HOSONO HARUOMI Compiled by OYAMADA KEIGO


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収録曲/ アーティスト [オリジナル収録アルバム]
BALLADE OF AYA/ ティン・パン・アレー [キャラメル・ママ]
東京ラッシュ/ 細野晴臣&イエロー・マジック・バンド [はらいそ]
BODY SNATCHERS/ HARRY HOSONO & THE WORLD SHYNESS [FYING SAUCER 1947]
HURRICANE DOROTHY/ 細野晴臣 [TROPICAL DANDY]
夏なんです/ はっぴいえんど [風街ろまん]
シャンバラ通信/ 細野晴臣&イエロー・マジック・バンド [はらいそ]
GOOD MORNING, MR.ECHO/ swing slow [swing slow]
夢見る約束/ HARRY HOSONO & THE WORLD SHYNESS [FYING SAUCER 1947]
ただいま/ 細野晴臣 [HoSoNoVa]
東京Shyness Boy/ 細野晴臣 [泰安洋行]
ハニー・ムーン/ 細野晴臣 [TROPICAL DANDY]
HEPATITIS 肝炎/ 細野晴臣 & 横尾忠則 [コチンの月]
Radio Activety/ 細野晴臣 [Heavenly Music]
ノルマンディア/ 細野晴臣 [COINCIDENTAL MUSIC]
ローズマリー、ティートゥリー/ 細野晴臣 [HoSoNoVa]
CHOO CHOO ガタゴト・アメリカ編/ 細野晴臣 [HOCHONO HOUSE]
ろっかばいまいべいびい(New ver)./ 細野晴臣 [HOCHONO HOUSE]
“Sayonara”, The Japanese Farewell Song/ 細野晴臣 [泰安洋行]
THE FIRST ONE IN HEAVEN/ 細野晴臣 [THE ENDLESS TALKING]
Laugh-Gas/ 細野晴臣 [omni Sight Seeing]
PURE JAM/ Yellow Magic Orchestra [TECHNODELIC]
ピクニック/ 細野晴臣 [フィルハーモニー]
RESCUE/ HASYMO [EX MACHINA ORIGINAL SOUNDTRACK]
METALIC VELOCITY/ Haruomi Hosono + Cornelius [EX MACHINA ORIGINAL SOUNDTRACK]
GRADATED GREY/ Yellow Magic Orchestra [TECHNODELIC]
Turn Turn/ SKETCH SHOW [AUDIO SPONGE]
ORGONE BOX/ 細野晴臣 [omni Sight Seeing]
O.K./ Yellow Magic Orchestra [テクノドン]
Microtalk/ SKETCH SHOW [AUDIO SPONGE]
Korendor/ 細野晴臣 [omni Sight Seeing]
STELLA/ SKETCH SHOW [LOOPHOLE]
DARK SIDE OF THE STAR -地球の夜にむけての夜想曲-/ 細野晴臣 [S・F・X]

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小山田圭吾はあらかじめ星野源の選曲リストを知ったうえで、被らないように選曲したらしく、星野源の選曲から漏れたものを集めているような部分もあるが、全体的には、よりマニアックというか、細野晴臣の幅広くディープな音楽性を捉えられるよう網羅的に選曲しているように見える。小山田が細野のラジオに出演した際には、アンビエント系の曲は時間が長く、収録曲数を圧迫するので入れられなかった旨を話していた。

どうもDISC1がアコースティック寄りの選曲でDISC2が電子音楽系の曲を集めているようなので、DISC1とDISC2に分けて気になる選曲について語っていきたい。

DISC1

M1「BALLADE OF AYA」は演奏家集団ティン・パン・アレーのアルバム『キャラメルママ』(1975)のラストの曲。アルバム最後の曲を1曲目に持って来るのは中々センスの良さを感じる。この曲のアレンジはコーネリアスにも通ずるところがあるので納得の選曲。タイトルのアヤとは細野の娘のこと。

M2「東京ラッシュ」、M7「シャンバラ通信」はどちらも『はらいそ』(1978)からの収録。M7の「シャンバラ通信」は『はらいそ』収録の唯一のインスト曲で、リズムボックスのチャカポコとした音にインドネシアの民族音楽ガムラン風の音をのっけた曲。これを選ぶのは小山田ならではという感じ。

M3「BODY SNATCHERS」はオリジナルの『S-F-X』(1984)からではなく、原曲のテクノ要素をカントリーアレンジに変えてセルフカバーした『FLYING SAUCER 1947 』(2007)収録のバージョンから。UA歌唱のM9「夢見る約束」も同アルバムからの収録。1940年代頃に使われていたというRCAのリボンマイクで録音されたこのアルバムの音の良さには驚いた。このアルバムが発売される前に、フジテレビの音楽番組「僕らの音楽」にUAがゲスト出演した際、細野とギタリストの内橋和久を迎えて、この曲が披露されていた。内橋の演奏する変わった楽器ダクソフォンの奇妙な音色がおもしろい。私は大好きな曲なので「よくぞこれを入れてくれた」という思い。オリジナルは戸川純と上野耕路のユニット、ゲルニカに影響を受け作られた82年のソロ曲。

M4「HURRICANE DOROTHY」M12「Honey Moon」はどちらも『トロピカル・ダンディー』(1975)収録曲。「HURRICANE DOROTHY」はピアノのメロディがAlan toussaintの名曲「Southern Nights」を思わせる良曲。「Honey Moon」は中国の琴、楊琴の音色が美しい曲で、2018年にはMac DeMarcoが日本語でカバーしていた。両曲ともリズムボックスが使われており、小山田の好みがうかがえる気もする。(余談だが、アルバム記載の歌詞では「絹ずれの背中で」となっていて、マックもその歌詞に従ったカバーだったのだが、オリジナルの歌唱は「衣擦れのセレナーデ」と歌っているように聴こえる。TOWA TEI+ナチュラルカラミティのカバーでも「セレナーデ」と歌っていたのだが、真相やいかに。)

M5「黙って聴け」は今回アルバムに初収録となったレア音源。NHK-BS2で放送された「黙って座ってじっと聴け ~ネイティブ・アメリカン 音の旅~」のエンディング曲。

M6「夏なんです」は、はっぴいえんどの名盤『風街ろまん』から。「風をあつめて」に並ぶ名曲。

M8「Good Morning, Mr.Echo」は96年のコシミハルとのユニットSwing Slowのアルバム『swing slow』収録曲。それまでアンビエントにどっぷりだった細野がなぜかアメリカンポップスや童謡のカバーをしたりしているアルバム。セールスは振るわなかったらしいが、ジャケットもかっこいいし、モンド/ラウンジ系の隠れた良作。

M10「ただいま」M16「ローズマリー、ティートゥリー」はアルバム『HoSoNoVa』(2011)から。「ただいま」は星野源の作詞曲。細野が星野源に提供した曲のセルフカバーでオリジナルはアルバム『ばかのうた』に収録されている。

M11「東京Shyness Boy」M19「“Sayonara”, The Japanese Farewell Song」はともに『泰安洋行』(1976)収録曲。 Shyness Boyとはムーンライダーズの鈴木慶一のこと。鈴木慶一の曲にも細野について歌った「火の玉ボーイ」という曲がある。

M13「 HEPATITIS 肝炎 」はイラストレーター、画家の横尾忠則との共作アルバム『コチンの月』(1978)から。アルバム制作前に二人はインド旅行に行って下痢になったり、UFOを見たりしたらしい。横尾は音楽面にはほとんど関わってないらしく、たまにレコーディングスタジオに来て曲聴き「ちょっと強面じゃない?」とか言って帰っていったらしい。細野晴臣のアルバムの中でも最大の奇盤なので、ある意味当然の選曲か。おそらく海外でもカルト的な電子音楽アルバムとして知られているのか、Jim O’Rourkeが最初に聴いた細野のアルバムもこれで、他、James Blakeがどこかのラジオ番組に出演した際の写真でもこのアルバムを手に持っていた。

M14「Radio Activity」はクラフトワークのカバー。震災以後にライブでカバーされるようになった曲。

M15「Normandia」は細野がCMに提供した曲を集めたアルバム『コインシデンタル・ミュージック』(1985)収録曲。この曲を聴いた坂本龍一はラジオで自身のYMO時代の曲「Perspective」のパクリだと憤慨し、二人の不仲を加速させた。和解後には細野トリビュートアルバムで坂本自身が同曲をカバーしている。細野と坂本のラジオ対談で、細野はこの曲について「坂本龍一のような曲を」と依頼されて作ったものと説明しており、坂本は「失礼な話(依頼)だねえ」と言っていた記憶がある。とまあそんなエピソードも含めて味わい深い曲。

M17「CHOO CHOO ガタゴト・アメリカ編」M18「ろっかばいまいべいびい(New ver)」は共に最新作『HOCHONO HOUSE』(2019)から。

DISC2

M1「THE FIRST ONE IN HEAVEN」はアルバム『THE ENDLESS TALKING』(1985)から。このベストで一番驚いた選曲がこれ。このアルバムはイタリアの芸術イベントでミラノのデザイナーが作ったオブジェに内蔵されたエンドレスに再生し続けるテープに収録された曲を集めたもの。むしろそんな前情報がない方がおもしろく聴けるかも。私もだいぶ前にアルバムを入手したが、前衛的でいまいちつかみどころがない曲が多く、正直10回も通して聴いてないかも。が、久々に聴きなおしたら結構おもしろかった。

M2「Laugh-Gas」、M9「ORGONE BOX」、M12「KORENDOR」は全てアルバム『omni Sight Seeing』(1989)から。M2「Laugh-Gas」は多分日本では初期のアシッド・ハウスでテクノ系人脈には人気の高い曲。11分くらいあるのによく入れたなと思う。どこかのインタビューで小山田はこのアルバムの名前を上げていた記憶があるので、お気に入りのアルバムなのかも。これも音楽的評価の高いアルバム。

M3「PURE JAM」M7「GRADETED GREY」はどちらもYMOのアルバムの中でも特に音楽的評価の高い『テクノデリック』(1981)の収録曲。「PURE JAM」は細野曲というよりも高橋幸宏の曲という認識だが、「GRADETED GREY」は中期YMOの細野の代表曲とも言えそうな曲。近年のライブでもアレンジを変えてセルフカバーしていた。

M4「ピクニック」M9「エア・コン」はどちらもYMO期のソロアルバム『フィルハーモニー』(1982)収録曲。YMO期のファンには人気のソロアルバム。「ピクニック」は初期のサンプラーE-mu Emulatorが届いたその日に即興的に作り上げられた曲。

M5「RESCUE」M6「METALIC VELOCITY」の2曲は細野が音楽を監修した3DCGアニメ映画『EX MACHINA』(2007)のサウンドトラックから。 RESCUE」はYMOの別名義HASYMOの細野主体の曲。初めて聴いたときには、今でもこんな洋楽的なかっこいい曲を作れるのかと感心した。M6は細野とコーネリアスの共作。

M8「Turn Turn」M12「Microtalk」は細野と高橋幸宏のエレクトロニカ・ユニットSKETCH SHOWの1st 『AUDIO SPONGE』(2002)から。M8「Turn Turn」は細野トリビュートアルバムでコーネリアスがカバーしている。M12「Microtalk」は曲中に一瞬聴こえる声が小山田ぽいなとずっと思っているのだが、もしかしたらサンプリングされてるのかも?

M11「O.K.」は1993年のYMO再結成時のアルバム『テクノドン』から。ブックオフでよく見かける、あまり良い評価を受けていないアルバムだが、最近はちょっとずつ再評価されてきている気がしないでもない。「O.K.」はサイケデリック・ロックっぽいのか何なのかよくわからないが、良い曲だと思っていたので、選曲されていて「おおー」という感じ。中田ヤスタカは『テクノドン』を睡眠学習のように聴きながら寝ていたという。

M14「STELLA」SKETCH SHOWの2nd『LOOPHOLE』から。細野がシャーマン音楽家と評した盟友、福澤もろに捧げられた曲。

M15「DARK SIDE OF THE STAR/地球の夜にむけての夜想曲」は『S-F-X』(1984)収録曲。細野がテイチクと業務提携して設立したノン・スタンダード・レーベルからのリリースで同レーベルには後にフリッパーズ・ギターをプロデュースする牧村憲一も参加していた。若干Brian Eno風なのかわからないが、アルバムの最後を閉めるにふさわしい静謐なアンビエント曲。

総評

小山田選曲のベストは、個人的には「もし自分が選曲するなら」という視点で考えた場合に「これは入れたい」というものが多く選曲されていたので、納得の選曲だった。全体的に「細野晴臣隠れ名曲コレクション」といった趣がある。星野源の選曲が入門編とするなら、そこから2、3歩進んだ感のある小山田の選曲はうまい具合に対になっているかもしれない。

新規細野ファンにはセットでおすすめしたい。

終わり。

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