【映画】「風の谷のナウシカ」はハッピーエンドなのか?、久石譲が影響を受けた音楽、細野晴臣とジブリ、の話

この前の「風の谷のナウシカ」テレビ放送を観て気になったことや音楽の話です。この前といっても1月4日だから、更新までにどんだけ時間かかってるんだって感じですが。

「風の谷のナウシカ」(1984、日本、監督:宮崎駿、主演:島本須美)


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普通にちゃんと観ている人からすれば、改めてわざわざ言うほどのことでもないかもしれませんが、 久しぶりに映画「風の谷のナウシカ」を観てみたら「この映画の終わり方はハッピーエンドといえるのか?」ということが気になったので、それについて書いていきたいと思います。

映画「風の谷のナウシカ」はハッピーエンドなのか?

「ナウシカ」の世界の住人にとっての真のハッピーエンドとは

そもそも、あの「ナウシカ」の世界の住人が抱えている最大の問題は「どうすれば安全に暮らすことができるのか」ということで、そこが解決されることが本筋のハッピーエンドだと思うんですよ。腐海の拡大こそが最大の危機ですから。

そしてそのハッピーエンドを実現する助けになるかもしれないのが、「その者青き衣をまとい~」という救世主に関する言い伝えです。映画では「その者青き衣をまといて金色の野に降り立つべし」までが実現され、ナウシカが救世主であるということがわかります。

しかし、それよりも重要なのはそこから先の「失われし大地との絆を結び、ついに人々を青き清浄の地に導かん」が実現されることだと思うわけです。そこまできて、やっと映画の鑑賞者も「これでみんな平和に暮らせるんだな。めでたしめでたし」と思える物語のはずなんですよね。ところが、そこまでは描かれない。「後は想像で補ってね」というような終わり方をしています。

もちろん言い伝えられている救世主だとわかったナウシカが清浄の地(腐海の底)に人々を導いて移住するということはイメージできるけど、やっぱりそこが描かれないと、鑑賞者の想像にゆだねられすぎていると感じます。

ラストでナウシカが蘇って救世主だとわかって、王蟲の群れとトルメキア軍も帰って、なんかハッピーエンドな感じがするけど、一旦その場にあった問題が色々解決しただけで「いや、まだ真のハッピーエンドではないでしょ」と。これで「めでたしめでたし」とは思いづらいなと。正直、ごまかされてる感もある終わり方です。

まあ、未完結の原作の映画化だからこうなってるんだろうなということは理解はしやすいです。一本の映画として一応の終わりを作るというのは、むしろ観客に対しての誠実さだろうとも思います。

そういうところからこのクオリティの作品を作り上げるというところに宮崎駿の演出力の高さも感じられて、やっぱすげえと思ったりもします。というか、その演出力の高さによって、仮のハッピーエンドでしかないようなものが真のハッピーエンドのように見えちゃうということが、この違和感の原因かもしれません。

昔、原作の漫画版も読んだことはあるんですが、当時の自分には難しいところもあって充分理解してないまま売っちゃったんですよね。漫画版を読み直した時にはまた感想を書こうと思います。

ナウシカの音楽のあれこれ(久石譲、テリー・ライリー、細野晴臣)


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「ナウシカ」の曲へのテリー・ライリーの影響

話は変わって、ナウシカを観るたびに思うのが久石譲の音楽についてなんですが、テリー・ライリー(Terry Riley) の曲っぽいなと。具体的にはサウンドトラックの『「風の谷のナウシカ」~オープニング~』「腐海にて」がライリーの「A Rainbow in Curved Air」 (1969)という曲っぽいです。

テリー・ライリーというのはミニマル・ミュージックと呼ばれるジャンルの巨匠で久石譲はこの人に影響を受けているんですね。これほどメジャーな映画で、巨匠とはいってもややマニアックな向きのある音楽家の影響をもろに受けている曲が流れているということにちょっとしたおもしろさを感じます。

細野晴臣とジブリ

また、「ナウシカ」の音楽に関しては、元々細野晴臣がやる予定だったのが、宮崎駿が細野作の安田成美のテーマソングが気に入らなくて久石譲になったという話があり、実際、安田成美のテーマソングはEDのクレジットにも掲載されているのに映画内では一切流れることがありません。

細野晴臣は2007年に出演したラジオ番組でテーマソングを作る前に宮崎駿に会って「これは東ヨーロッパの感じですかね?」と聞いたりした話や、「ピントがはずれてたのかもしれない」「なにしろわかんないですけど、趣味が合わなかったんだろうね」といったことを語っていました。(NHK-FM「音楽の美術館・サウンドミュージアム 坂本龍一」 参照)

他の候補には坂本龍一、高橋悠治、林光がいたなんて話もありますが、何かしら先鋭的な音楽を作る人が候補に挙がっていたという感じですね。SF作品らしく電子音楽かクラシックかというイメージがあったのかもしれません。

余談ですが、細野晴臣はその後の「魔女の宅急便」と「風立ちぬ」でそれぞれ使われた荒井由実の「やさしさに包まれたなら」と「ひこうき雲」のベース演奏者でもあるので、結果的には端っこの方でジブリと関わりがある人という風にも見えますね。

以上です。